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好きなことに出会えるかはどうかは、運。だけど、その運をつかむには……ハヤトが高校生活とディスカバで得たこととは?

POINT

ディスカバに関わった高校生は、その後どのように過ごしているのか?

今回ご紹介するのは、高校生の時に自分のファッションブランド※を立ち上げたハヤトさん。

そんなハヤトさんはどのような高校生だったのか?ディスカバに参加することで何を得られたのか?その軌跡を追います。

 

※ハヤトさんのファッションブランド 「HAYATO KURATA」
https://hayatokurata.studio.site/
紫外線対策をしているしている人に向けて「ファッション性が高いUVカット」をしているブランド。ハヤトさんは「尋常性白斑」という病気を持っている。当事者としてこの病気のことを考え、同じ患者さんと話す中で生まれたのが「HAYATO KURATA」。ファッション性と紫外線対策を同時に叶える洋服を展開している。

01.

プレゼンをしている様子。

 

 

ーハヤトさんはこの4月から慶應SFCに通っていますね

昔から僕を知っている人だったら、僕が慶應に行くなんて誰も思わなかったと思います。僕自身も想像していなかった。

AO入試で合格することができましたが、AOっていう制度があって本当に良かった(笑)。

大学の入学式にて。

 

 

ーAO入試では自分のブランドについて話したんですか

もちろんです。
あと、僕、ブランド以外にも高校生活でいろいろ活動してきたので。そのことを話しました。

 

 

ー高校ではどんな活動をしていたんですか?

まず、「N高※でできることはすべてやる」という目標を高校に入学するときに掲げていて。

N高で実施しているマイプロジェクトに参加したり、「起業部」や「投資部」っていうN高独自の部活にも参加したり。オープンキャンパスのスタッフや文化祭のステージの部長をやったりもしました。ワークショップやプレゼンをする機会に積極的に参加したりとか。

とにかく自分のやりたいことを関連付けて、やりたいと思ったことは一通りやるようにしました。

自称ですけど、「N高を一番活用した人」だと思ってます。それくらいの自信があります。

※ハヤトさんが通っていた「学校法人角川ドワンゴ学園N高等学校」(https://nnn.ed.jp/)
ハヤトさんは都内にある通学コースに通っていた。

 

 


ーやりたいと思ったことは一通りやる、ってすごい行動力。高校入学前もそういう感じだったんですか?

中学生のときはいわゆる「陰キャ」と言われる部類で、目立つわけではなく隅っこにいるような存在でした。あがり症でもあったから人前に立つのも好きではなくて。

でも今は、人前に立つことは苦手ではなくなりました。

自分の活動のことだったら(自分のブランドのことを)知ってほしいと思ってむしろ話したいです。「表に立つ」ということが増えたので、それに慣れてきたというのはあります。

 

 

ー高校での活動は、存在感のある役回りが多いですもんね。でも、中学生のころのお話を聞いていると、高校での活躍ぶりがよい意味で想定外です。

N高では勉強以外の選択肢がたくさんあったからかな。

中学生のころは勉強がすごく嫌いで勉強をしてきませんでした。勉強以外の選択肢がほぼなかったように思います。勉強みたいに好きではないことに対してモチベーションがわかなかったし。

……とはいえ、図書委員とかずっとやってたんですよ。最後は副委員長とかやってて。
そういう役回りも好きだったのかもしれない、と思いました。

 

 

中学生のときは、学校で行われることに意外と参加する積極性もあったけど発揮する場所がなかったというか。

N高では勉強以外の選択肢が圧倒的に増えたし、自分を変えたいと思っていたから、それならばとりあえず「できることはすべてやろう」と思いました。

変わりたい、という気持ちもありました。まあ、学費の分モトをとろうというのもあります(笑)。

中学生の時。ファッションには関心がなく、ゲームに夢中。

 

 

ー(笑)。ファッションには、中学生のころから興味があったんですか

いや、全然興味なかったです。ファッションよりもゲーム、という感じで。

でも中学生になったとき、親から「その小学生っぽい服どうにかならないの」と言われて(笑)。Tommy Hilfigerの服を買ってもらいました。

それから洋服を意識するようになって、特別な日にはTommy Hilfigerの洋服を買ってもらって、興味を持つようになりました。

 

 

で、高校生になって、オシャレにすることでまわりから承認を得られるということを知って。
どんどん興味を深めていきました。あと単純にモテたいという欲求がありました。

 

 

ー正直で年相応な感じでいいなあ(笑)。オシャレにすることで、まわりからはどんな反響がありましたか?

Twitterに自分のファッションを投稿したら「オシャレだね」と言ってくれた人がいました。

高校は私服登校OKだったので、学校に私服を着ていくとそこでもまたまわりから承認されて。学校にはファッションが好きな人も多かったから、刺激を受けたり。ファッションにハマっていきました。

ファッションを通じて、病気をポジティブに捉えられるようになったと思います。

02.

ディスカバキャンプにて、メンターと同世代の友人と。
みはるさん(記事はコチラ https://discova.jp/magazine/miharu2021-ep1/)と
なぎささん(記事はコチラ https://discova.jp/magazine/nagisa-2020/)もいますね!

 

 

ーディスカバに参加したキッカケはなんでしたか?

宿泊型のディスカバ・キャンプ※に参加したことがきっかけです。

N高起業部の先輩でディスカバに参加している人がいて、その人にディスカバのことを教えてもらって、参加しました。

※2019年7月に実施したディスカバ・キャンプ【探究ワークショップ(宿泊)】のこと
(https://discova.jp/program/19summer-2/)

 

 

ー参加したディスカバ・キャンプではどのようなことをやりましたか?

自分の人生を振り返ってみたり、自分のアイディアを深めてみたりとか……実はそのころ、「ファッションをやめようか、やめまいか」と思っていました。不安を抱いていた時期で。

それで、何か新しいアイディアを見つけられたらいいなと思って参加した覚えがあります。

 

 

ーアイディアは見つかりましたか。

結論から言うと、見つからなかったんですよね……なんでだろう。

結局はやっぱり、「自分のブランドをやろう」という結論になったのかな。なんでだろうな、当時の自分にインタビューしたいです(笑)。

でも、ディスカバ・キャンプに参加することで高校以外のコミュニティができて。その出会いは大きかったです。

 

 

ーディスカバ・キャンプに参加した一番の収穫は新しい出会い、でしょうか

確かSFCの方もメンターでいらっしゃって。N高以外の友だちもできました。キャンプに参加した人の知り合いからまた別のコミュニティとつながれたり。僕のブランドを応援してくれる人もいて。

自己肯定感が上がるキッカケになったかと思います。

 

 

その後、秋のディスカバキャンプ※にも参加しました。

泊まりがけで誰かと話す、というのが初めての経験で、とても刺激的でした。人生のこととか、悩みのこととか、メンターの方にSFCの話もしてもらって。それがすごい楽しかったです。

そこから対話をするということにハマりました。

※2019年冬のディスカバキャンプ/2019秋(https://discova.jp/program/19autumn-3/)
2019年7月に開催された宿泊型のディスカバ・キャンプのフォローアップとして行われた。

ディスカバキャンプにて対話しているところ。

 

 

ー「対話」と「会話」には、どういう違いがあると思いますか?

「対話」は自分のことをオープンにして話すこと。「会話」は日常会話、という感じだと思います。

自分の哲学を語っているかどうかというのも、「対話」にあって「会話」にはないことかもしれない。

実は、昨日の夜も対話をしていて、正直寝不足です、今(笑)。「本質って何?」とか、自己開示しながら自分のモヤモヤを話しました。仲が深まりますし、対話をすることは好きですね。

 

 

ー自己開示することについて「こわい」と思うことはないですか

こわいからこそ、雑談では言えないんです。2人とか3人とか、少人数になったときでしか言えない。心理的安全性がないと対話はできないです。

なので信頼関係のある人としか対話しないかもしれないです。

安心して話せる環境だからこそ、自分のことについて深く考えられる。事務局の今村も一緒に。

 

 

ー対話をしているとどのような発見がありますか?

自分の考えが深まります。

自分では言語化できていないことを他の人の視点から表現してもらえたりして。それで自己理解が深まって、自分の考えが深まるのかと思います。

例えば昨日だと、「理想の自分」もいるのだけど、「理想の自分ではない自分」もいる。どちらも理解してくれる人がいたらいいなっていう話になって。あ~~~わかる、と思って。とても共感しました。

 

 

ー自己理解が深まりつつ、他者との共感が生まれる。そのサイクルが対話の醍醐味?

自分を承認してほしい、という気持ちが強いのかもしれないです。

自分を受け入れてくれたり、自分と共通点が多いというのはデカい。そういう人がいるというのも、会話では発見できないことです。

自己理解が深まるし、相手のことを知る機会にもなるから、対話って大事だなと思います。

03.

HAYATO KURATAの服をまとって。

 

 

ーハヤトさんのブランドが大きくなっていくにつれて、先ほど話してもらった対話のように、より多くの人に共感をしてもらうことが必要になってくると思います。どうしたらより多くの人に共感を生むことができると思いますか?

ブランドで伝えたいメッセージの抽象度を上げると、多くの人に共感が生まれると思います。

病気の当事者ではないから、「尋常性白斑」の病気を持っていない人は病気のことに共感できないじゃないですか。

でも抽象度を上げていけば、病気の当事者ではなくても「コンプレックスを持っている」という点で共感してくれる人もいるかもしれない。と、最近考えています。

 

 

僕も思うんですよ。
病気の当事者ではないのに病気に共感するってできないなって。

でも、共感してくれたり応援してくれたりしてもらえるっていうことは、病気の当事者ではなくても何かしらササるものがあるのだろうなって。

 

 

ーブランドで伝えたいメッセージの抽象度を上げたら、病気じゃない人にも通じるものがあると。

そうですね……難しいんですよ。僕、病気の当事者だから。
当事者以外の視点でブランドを見ることはできない。

とはいえ、自分自身の病気に対する考え方というのは、共感につながっているのかもしれないと思っています。

 

 

例えばLGBTの人とかも自分の性を隠して生きていたけど、それをオープンにしたことで他者に受け入れられた、という経験がある人もいると思います。

僕も自分のブランドを通して自分の病気のことをオープンにして、共感してもらったり応援してもらったりしている。

僕と近しい経験のある方が、僕のブランドに共感してくれたり、承認してくれたりするんじゃないかな。

協力企業の方々と。ブランドについてミーティングを重ねる。

 

 

ーなるほど……2月に実施したクラウドファンディング※でも、そういった近しい経験をした方々が共感や応援をしてくれたのだなと思いました。

共感度が高いとコアなものになると思うし。

この前アパレル関係の方と話していて、「ファッションって哲学だよね」って話になりました。ココシャネルとかのハイブランドは概念を形にして、それが共感されていって。

(概念の)伝え方は時代によって変わりつつあるけど、それが今も続いている。
だからファッションは哲学だよねって。破壊的でもあるし……

※ハヤトさんが2/1~2/21に行ったクラウドファンディング(https://camp-fire.jp/projects/view/344843)
プロジェクト終了時間前に目標金額を達成したそう!

 

 

ーその時代に「当たり前」とされていた考えを破壊する、ということかな……ちなみに、「HAYATO KURATA」のタイダイ染には、どんな意味が込められていますか。

タイダイ染っていうのは一つひとつ職人の方が染めているものなんです。

色の濃さや柄の形がすべて違って、ある意味全部一点もの。名前は一緒だけど他のものと違う、というのが白斑と似ているなと思っていて。

「尋常性白斑」という病気の名前は一緒だけど、みんな出方がちがう。

タイダイ染をカッコよく、ポップに表すことで、病気のこともをカッコいい、ポップなものだと捉えてほしい。病気も個性だと思ってほしい、と考えています。

協力企業の方と。

 

 

ー見方を変えれば、病気も個性になる、と。

そうです。
そういう考えを、僕は中学生のときに知らなくて。

当時はただひたすらネガティブな考えをしていて、(病気について)悪いところにしか目がいかなかったけど、「病気も個性」という考えを知ることで、ちょっと変わってくるのかなと思いつつ。

 

 

考えを知ったからといって共感してくれるかはわからないのですが、僕の活動をみて元気をもらう人もいっぱいいるだろうし。

先日のクラウドファンディングでもたくさんメッセージをもらいました。

僕の同世代の方には、こういう活動をしている人がいるんだ、ということを知ってモチベーションになってもらえたら嬉しいし、病気の方にも「こういうマインドをもって活動している人がいるんだ」と気づいてもらえたら嬉しいです。

HAYATO KURATAを応援してくれている方々と。

 

 

ーディスカバに参加する高校生たちにも、ハヤトさんの活動が伝わったら……と思いました

行動に移すのってすごくハードル高いですよね。

先のことを考えると周りからなにを言われるかわからないし。「お前何やってんの?」「勉強したほうがいいんじゃないの」とか、いろいろ言われるかもしれない。……難しいですよね。

 

 

迷っているのであればやってみればいいんじゃない?と思いつつ……僕も最初は、何も考えていなかったし。

それが今となってはこんなに大きな影響を与える活動になっている。

この活動に挑戦していなかったら、また別の人生を歩んでいたと思います。

でも、僕は今の自分が好きだから。この選択肢は間違っていなかったと思います。

 

 

ー「好きな自分になれるか」って、とても大事な観点だと思いました。

活動をしている以外の僕は、めちゃくちゃクソなやつだなって思いますよ(笑)。めちゃくちゃ自己肯定感低いし。

でも、この活動に関しては自信があります。好きなことだったら行動できるんです。やってみたい、挑戦してみたい、と思ったときは、不安よりもそういった気持ちが勝ちます。

 

 

ー「やりたいことが見つからない」という同世代の子がいたら、どんなメッセージを届けますか?

やりたいことがないのであれば、やりたいことが生まれるまでやらなくてもいいんじゃないかな。

やりたいことが生まれたら、自ずとやりたくなるから。変に焦っても仕方がないと思うし。好きなことに出会うのは「運」だと思います。好きなことに出会えるのが早いか遅いかは、運。

 

 

でも、その運をつかむために、自己理解は深めた方がいいのかと思います。

活動はしなくてもいいから、自分はどういう人間なのかということを理解していけば、考えが深まっていきます。「活動しなきゃいけない」「行動しなきゃいけない」というわけではないです

今、やりたいことがなくても、自分を知ることでやりたいことが見つかると思います。

ディスカバ参加時、対話する様子。
対話しながら「自分のホンネ」「自分も知らない自分のキモチ」を見つけていく。

 

 

ーファッションに対する興味の深まり、ディスカバでの出会いと発見。今日のお話を聞いた最後に、とてもしっくりするメッセージです。ハヤトさん、本日はありがとうございました!

高校生でブランドを立ち上げた、という側面だけを見ると途方もなく遠い存在のようですが、ハヤトさんの一番の魅力は「向き合い方」かと思いました。

コンプレックスを持っている自分との向き合い方、他者と向き合う中でなにを発見するか。もちろん、立ち上げたブランドに対しての向き合い続けることと、ブランドを支持してくれる方への向き合い方。

 

進級・進学をして、日ごろ新しいことに向き合っている皆さん。
ディスカバに参加して、まだ出会えていない誰かと、そして、自分自身と。
真剣に向き合ってみませんか?

 

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